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Labo’s View 027 FX-AUDIO- FX-1001J

      2019/01/07

『モノラルパワーアンプならではの音場表現力』

NFJ & FX-AUDIO- 初の本格的モノラルパワーアンプFX-501JのブラッシュアップモデルFX-1001Jが発売された。写真等では殆ど変わらないように見えるが、どのような変更が行われたのかを、試聴を含めてレポートする。

まず、本機の接続方法であるが、スタンダードな使い方としてはプリアンプ(コントロールアンプ)からの信号を入力してスピーカーに出力する。スマートフォン直結で使う事も出来るが、つなぐ機器によっては残留ノイズが少し気になるかもしれない。
アドバンスな使い方としてはプリアンプの出力をチャンネルデバイダーに接続して、チャンネルデバイダーの出力を本機に接続する方法や、サラウンドアンプのラインレベルのサブウーファ出力やセンターチャンネルや後方のサラウンドチャンネルを本機にそれぞれ接続して使う方法がある。
本機はモノラル(シングルチャンネル)仕様の為、ステレオで使う為には2台必要である事を忘れずに。

エージング前から歯切れの良いハッキリ系のサウンドを響かせるが、48時間ぐらいで尖った所が落ち着いて来て深みが出てくる。試聴は100時間を超えたところで行った。
全体的にモノラルアンプを左右独立で使うメリットをしっかり感じさせるセパレーションの良い音で、広い空間表現と躍動感のあるレベル方向の表現力が頼もしいところは501Jとほぼ同じである。
低域は力強く、馬力のある感じだが、大味にならないタイトな感じで、中域は少し艶表現が出来る感じがあり、きらびやかさとヌケの良さがある。高域はハリのある感じの音質感だ。
レベルとしてはフラットな感じの中に重心が高くならない雰囲気を持つ。
定位はボヤけた感じのないしっかりした感じで、程よく実在感がある。音像は電圧や電源の品質でかなり変化する。
音場も電圧でかなり変化するが、左右方向の広がりは圧倒的で、モノラルパワーアンプを独立して使う意味を大きく感じるところだ。前後方向は奥行側はかなりあるが、頭部の後ろ側への表現力はセッティングによって特に大きく変わる。上下方向へはそこそこあるが、電圧が高いと表現範囲が増える傾向だ。
解像度は高めの方向で、これも電圧や電源品質で変化する部分である。

本機を2台使った時のアダプターの供給電圧による音質の変化は、電圧を上げる(12Vから24V)と、制動力が向上しタイトさが増す。低域の量感は制動力の上がった分が下がったように感じる。音像定位は電圧を上げたほうが点に近くなり、解像度も向上し音場は左右も広くなる。後ろや上方向への表現力が増す。以上の事からスピーカーとのマッチングをとる上でのフォーカス調整にも使える。また、好みによって電圧を12V以上の範囲内で低めにセッティングするのも面白いと思う。

FX-501J(2nd Lot)と比較してみたが、試聴音量では大きな音質差を感じる事は出来なかった。
FX-501JのTPA3118は基板放熱タイプで、本機のTPA3116はヒートシンク放熱タイプとなっている。大音量を長時間出力し続ける時の安定性は高まっているようだが、どちらも一般家庭で普通に使っている分には熱問題が発生するような事は殆ど無いと思われるので、念には念を入れ的な改良という感じがした。

4段階のゲイン調整はボリュームを排除するという部分で、とても効果的に使われている。音質にも貢献している仕様で操作感もなかなか良い。ポジションにより入力回路のインピーダンスが変化するので、入力カップリングコンデンサによるハイパスフィルターのカットオフ周波数も僅かに変化する。変化の方向はゲインを上げるとカットオフ周波数が上がる方向で、音質のコントロール要素にも使えるが、基本的には下げた方向でトータルのS/N比を稼ぐ方向のセッティングをお勧めする。
ゲインの切替えはMCU制御で行う為、動作させながら行えるようになっているが、切り替える際にミュートになる時間が約2秒有る為、曲を演奏中に行うと音が出ない時間があるので、注意して使ってほしい。
高能率スピーカーを使っていると-12dB〜20dBぐらいの(アッテネーター=減衰器 音量を下げる時に使う。可変ボリュームより音質への悪影響が少ない場合が多い)が欲しいと思う時がある。今後単体のアッテネーターが発売される事を期待したい。

DC-Input端子はしっかりしたタイプを使っているが、センターピンは2.5mmなので、2.1mm系のプラグを刺す時には変換コネクタが必要なので、注意が必要してほしい。電圧は12V~24Vと広く対応しており、電流は4A以上であれば殆ど問題ないが、大出力を必要とする場合には24Vで5A以上のものをしっかり使ってほしい。

モノラルパワーアンプの有利な部分として、スピーカーとの最短距離設置が可能である。
既にFX-501Jで楽しんでいるユーザーも多いと思われるが、スピーカー端子に無理の無い範囲で限りなく近くに設置する事で、スピーカーケーブルの影響を減らした音質が楽しめるのは大きな魅力である。筆者はエンクロージャーの裏側にスピーカー端子が至近になるように設置して試聴してみたが、数メートルのスピーカーケーブルが10cm程度になる事でかなりの音質変化が楽しめた。使い勝手は若干悪くなる事と、プリアンプからのケーブルを長くする必要が出てくるが、ラインケーブルの引き回しのほうがスピーカーケーブルよりも音質変化が少ない事が多く、ラインケーブルの品質を確保出来れば、音質的にはお勧めである。設置の際にスピーカーからの振動が伝わらないように気をつけてほしい。

シンプルで効率良くデザインされた部品配置である。

他の機種に設定されていないチタンブラックに興味が惹かれる。なぜ本機だけにチタンブラックの設定があるのかは謎である。

総括
プリ(コントロール)アンプ+モノラルパワーアンプ2台というセパレートアンプ構成を、思いっきり手が届く価格で実現出来る本機は、FX-501Jと同様に優れものである。組み合わせるプリアンプもTUBEシリーズだけで00J,01J,03J+と3機種から選ぶ事が出来るのも大変魅力的である。もちろん、他のプリアンプとの組み合わせも可能だ。筆者はTUBE-01J LIMITEDとの組み合わせが一番気に入ったが、TUBE-00Jや、トーンコントロールが必要な場合はTUBE-03J+も、コストパフォーマンスの高い音質を聴かせてくれる。モノラルパワーアンプの左右独立駆動でしか味わえない音場感を感じられる本機は、力強い音質と合わせて、お勧めの逸品である。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で30年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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