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Labo’s View 016 FX-AUDIO- FX152J PRO

      2018/08/01

『気持ちよい鳴りっぷりが特長のコンパクトアンプ』

YAMAHA YDA138チップをメイン増幅段に使った、コンパクトなデジタルアンプが発売された。YDA138はYD202JやNFJの自作キットで音質に定評のあるチップで、その使いこなしに長けていると思われるNFJでは、本機をどのように仕上げたのか。しっかり試聴してしてみようと思う。

パワーオンとともに、とても鳴りっぷりの良い音がする。そのままエージングに入ると数時間で解像度、高域の歪み感の減少、低域の深みなどが良くなって行くのが判る。48時間ほどで十分試聴出来る感じになったが、スケジュールの都合で約100時間で試聴を始めた。
気持ちよい鳴りっぷりはYDA138を上手く使いこなしている感じで、全体的に好印象を受けた。
トーンコントロールをセンターにした時のバランスはかなり下のほうから、高域までしっかりフラット。低域は押し出し感がしっかりあり制動力は少なめ。中低域に音の厚み感あり、音楽を豊かに響かせるところは上手いチューニングになっている。中高域は少しツヤがあり、やや落ち着きのあるところは、長時間のリスニングも十分可能だ。
センターの定位は良好。左右の定位も不満の無いしっかりしたものになっている。
音場は左右方向には程よい大きさで、奥行方向、特に前方への表現力は解像度の高さと相まって、価格やサイズを超えた部分である。
歪み感は全帯域で少なめの印象で、中域のクリアー感はなかなか見事である。
本機はYDA138をシングルで使う仕様なので、デュアル使いのYD-202Jの半分の出力ではあるが、能率の低いスピーカーで大音量を必要とする場合以外では、問題になる事は殆ど無いだろう。
トーンコントロールの音質変化はTUBE-03と似ている印象だ。Bassは積極的なセッティングでターンオーバー周波数がちょっと上めでコンパクトスピーカー等でも効果を感じ易く、変化量はかなりしっかりある。
Trebleは繊細なターンオーバー周波数が上のセッティングで、音響機器のセッティングに使い易い。変化量は十分あるが、Bassよりは僅かに少なく感じる。
Bass/Treble共に振り切りいっぱいまで回しても極端な位相崩れがなく使い易いところは使いやすい。
注意点としては、Bass/Trebleつまみが1段階時計方向にズレて装着してあったので、つまみの位置を最小から最大にして、対になるようになっているかを確認したほうが良い。ズレていた場合は簡単に引き抜けるので、修正は容易だ。

DC-Input端子は12Vセンタープラス、センターピンは2.1mmで標準的な為、心配無用だ。
本機のスピーカーコネクターは端子台タイプであるが、Bonneville Eaters等のタイプより一回り大きく、しっかりした造りになっている。ネジはマイナスのみの対応に変更されている。
ボリュームつまみは最小の位置でPower OFFになるタイプで、ポップノイズ回避の役割を持っているので、Power ON/OFFはここで行うようにしてほしい。

本機はオペアンプを交換して音質変化を楽しむ事が出来る。初段増幅とトーンコントロールの2カ所となるが、試聴は同時に交換して行った。
定番のOPA627を変換基板で2回路にしたものに替えてみると、鮮烈で生々しいヴォーカルに驚かされる。
全帯域で解像度が向上し、音場表現はより広大に、左右方向はスピーカーの外側のアウトフェーズの部分が特に上手く表現されて、後方まで回り込む感じが見事だ。上下方向の表現力も向上しお勧めである。
本機でトーンコントロール側をOPA627に交換すると発振する可能性が高いように感じられたので、その場合は初段増幅側のみを交換してほしい。
OPA1622を変換基板でDIP化したものでは、OPA627ほどの生々しさにはならない範囲で、全帯域の解像度が向上し、鳴りっぷりがとても良い。力強さも繊細さもバランス良く、OPA627の次にお勧めしたい。
全ての保証が効かなくなる為、自己責任の範囲で楽しんでほしい。

電源系では、リトルスージーの使用がとても効果的で、一音づつの音の立ち上がり、ディレイとリバーブの表現力が素晴らしく、音場表現の左右方向と上下方向が拡大、前後方向は拡大と分解能が向上した。既に持っているユーザーは是非使ってみてほしい。

総括
本機はコンパクトなボディの中に高音質がギッシリ詰まっている、ハイコストパフォーマンスな一台であった。トーンコントロールも実用的なクオリティーで実装されており、実使用時の補正等を考慮すると、トータルでの音質はかなり高いレベルで使えるので、お勧め出来る逸品である。セッティング時にはマイナスドライバーをお忘れなく。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で30年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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