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Labo’s View 010 FX-AUDIO- DAC-SQ5J

   

『高性能DACチップPCM1794Aを使った新フラッグシップ純DAコンバーター』

待望のPCM1794Aを使った、FX-AUDIO-の新しいフラッグシップDACが登場した。どのくらいの音質的アドバンテージを持つのか興味深いが、現在までのフラッグシップ機のDAC-X6Jや高性能DACチップWM8741を搭載しているFX-02J+との音質的な傾向の違いなどについてもレポートする。

エージング前は高精細な音質感はあるが、滑らかさなどに高級感はまだ無い。24時間ぐらいで少し落ち着きを見せ始め、48時間ぐらいからポテンシャルが見え始める。本機は出力がダイレクトカップリングなので短めのエージングを予想していたが、意外と時間をしっかり必要とするタイプだ。100時間ぐらいで深みのある滑らかな音になり変化幅が減ってきたので、試聴を行う。

全体的に非常に歪み感の少ない、クリアでストレートな感じが印象的で、DA変換の正確さを感じられる音質だ。
周波数方向にはレベルがフラットである事はもちろん、反応が音域によって変わりにくい。
音量方向にはリニアティが高く、鋭いアタックからリバーブの切れ際まで、入力されるデータに忠実に反応する。低域は超低域までしっかり伸びているが、ボン付きなどは皆無ではあるが、かといってタイトすぎないバランスの良いものである。中域は適切なハリや陰影を感じ、音数が多いソースでも、ダンゴになりにくいが、薄すぎる事もない。高域はギラつきのないクリアーな雰囲気のまま超高域までしっかり伸びている。
時間軸方向には立ち上がりの良い音ではあるが、刺激的過ぎないところに上手く調整されていて、心地よい。また、楽音個々の減衰部分や消音の瞬間は締まりの良さを感じられる。
音像定位と音場表現は左右方向の広がりは偏りなくセンターからスピーカーの外側まで、入力に忠実に反応する。センターの定位は点に近く、音場情報としての付帯音との関係からソースにより上方向への表現を垣間見れる。前後方向の表現力も高さ方向への表現力も持ち合わせているので、再生システムのポテンシャルを引き出せるセッティングが可能だ。
歪み感は非常に少なく、特に高域のクリアーな感じは流石にフラッグシップらしさを感じさせるものがある。
分解能は全帯域で高く、その高さが神経質に感じないセッティングはなかなか良い感じだ。

参考までに、DAC-X6Jと比較すると、歪み感、音場表現力に差を感じた。
FX-02J+との比較では、クリアーな感じ、入力ソースに対する正確性などは本機が、音楽的な表現、アナログ的な滑らかさの演出においては02J+が得意な印象を受けた。

本機はUSBを使ってPCとの接続、同軸や光でCD/DVD/ブルーレイプレイヤー、テレビ、ハードディスクレコーダー等と接続出来る。送り込むデータは本機に送り込む前にオーバーサンプリングしても良いが、場合によってはネイティブで送り、DAC内部のオーバーサンプリングのほうが良い結果になる場合もあるので、じっくり試聴して使うと良い。
本機の同軸/光入力のS/PDIF系の入力はAK4113のジッター低減効果が活かされた、落ち着きのある音質で、SA9027を通ったUSB入力との使い分けも音質的に面白いところだ。

購入時にはEL表示窓に薄い保護シートが付いているので、滲んだように見えるので、キズをつけないように慎重に剥がしてほしい。
ブランド名が右にオフセットしたデザインは、少々気になるところだ。

本機はオペアンプを交換して変化を楽しむ事が出来る。
交換の際には、表示用のフラットケーブルとLEDに注意して行う。
I/V変換をOPA627に交換したところ、全帯域での押し出し感や立体感が強まった。特に低域のアタックからコンプが反応するまでの表現力はモニター的になった。
I/V変換をLME49720に戻し、差動変換をOPA627に交換したところ、大変コストパフォーマンスに優れた心地よい音質が得られた。押し出し感は程よく、立体感が程よい範囲でより実像的になり、歪み感の少なさ、高域の素直な感じは元のセッティングを残していて、なかなかである。
差動変換をLME49720に交換して、全てをLME49720にしてみたところ、中低域のハリと押し出し感が少し減ってクールでシャープな音場感になったが、デフォルトのOPA2604とどちらが良いかといえば、好みによってという領域だ。
I/V変換と差動変換の両方をOPA627に交換したところ、音像の立体感と解像度が強烈で、目の覚めるような音を聴かせるが、少し高域が刺激的になりすぎる部分があるので、その場合はリトルスージーなどの電源系やケーブル類でコントロールすると良い。
オペアンプの交換は全ての保証が効かなくなる為、自己責任の範囲で楽しんでほしい。

リトルスージーを使った時の音質変化だが、基本的に落ち着く側に変化した。音像は張り出す部分が減って奥行の表現が増える感じで、オペアンプを交換しないで使う場合には強く必要性を感じなかった。言い換えるとデフォルトのセッティングが良く出来ているという事である。組み合わせる周辺機器によっては、コントロール要素として活用出来るが、必須では無い。

総括
価格からは想像し難い高いレベルのサウンドコントロールが成された実力機であった。使用しているチップを活かした音質は、新しいフラッグシップ機にふさわしいもので、強くお勧め出来るものだ。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で29年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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