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Labo’s View 017 FX-AUDIO- DAC-X5J+

   

『ハイレゾ対応DACのニュースタンダード』

DAC-X5Jが3年余りの時を経て”+”がついてリニューアルした。DACチップはシーラスロジックのCS4344から旭化成エレクトロニクス「AKM4388A」、USBレシーバ ICはVIA VT1630AからSAVI AUDIO「BRAVO SA9023」という構成に変更された。オーディオレシーバICはシーラスロジック「CS8416」を前のモデルからキャリーオーバーしている。
NFJのハイレゾDAC初号機のDAC-X3Jからのアーキテクチャーであるライン出力に対してのDAC-ICからの直接出力とヘッドフォン出力に対してはオペアンプ一段増幅という部分は引き継がれている。

音出ししてすぐに中域の雰囲気が違う事に気付くが、暫くエージングを続けていくと高域が滑らかで、中域の解像度が増してくる。
本機のライン出力はバッファアンプを通さない直接出力構成の為、AKM4388Aの仕様で少し音量が小さい。
小音量時にアンプ側のボリュームのギャングエラーが気になっていた人には使いやすい部分といえるが、逆に音量レベルが常時高いセッティングが必要な場合は少し注意が必要である。
更にエージングを進めていくと低域が落ち着き、音場感の表現力がかなり上がってきた100時間超えぐらいで、いつもより少しアンプのボリュームつまみの位置を大きくしてインプレッションを行う。

周波数方向のレベルバランスはフラットで、クセの無い、ジャンルを選ばない仕上がりで好感が持てる。
低域はかなり低い帯域まで伸びているのに、スピード感がある音でクッキリ鳴らしてくる。
中域もさらっとした感じだが、しっかりとした実像感のあるカラー。高域はギラつきが少なく、スムーズに上まで伸びていてヌケも良い。
歪み感はかなり減った印象で、特に中高域のクリアーさがX5Jより向上しているように感じる。
解像度も全体的に高めで、特に中低域の解像度にはハっと出来る要素もあり、DAC-ICをダイレクトに出力している部分の良さが出ているように感じた。
音像は比較的シャープな方向で、実音と残響成分が区別出来る聴こえ方だ。
中域の左右方向振り切りは特にクッキリしており、コーラスパートが鮮明に感じる。
ヴォーカルの前後方向の表現力の高さは魅力的だ。
音場感はかなり立体的で、左右はかなり広く、奥行もしっかりと描き出し、上下も表現出来る素晴らしい仕上がりだ。
エージングで最も変化が大きかったところなので、購入後はしっかりエージングしてほしい。

ヘッドフォン出力であるが、フラットなバランスでかなり低域まで伸びていて、NE5532のしっかり感のあるキャラクターを活かした全体的にクッキリとした音作りは、歪み感も少なめで、細かい部分の音像描写もバランス良く感じられる。
標準でもゲインが高めだが、内部のピンを差し替えると、よりハイゲインな設定にも出来る。
ゲインの変更によってボリュームの位置等の変化による音質の変化も僅かにあるので、自己責任の範囲で楽しんでほしい。

DC-Input端子は12Vでセンタープラス、ピンは2.1mmで標準的な仕様。1Aで十分動作するが、容量に余裕を持たせても良い。
電源スイッチは無く、ACアダプターを接続すると、ONになる仕様はDAC-X5Jと同様である。
USB/同軸/光入力は、USBが優先する仕様であるところもDAC-X5Jと同様で、同軸と光は同時に入力しないように使うところも同様である。

本機はオペアンプを交換してヘッドフォン出力の音質変化を楽しむ事が出来る。
OPA627に替えると解像度が上がり、音場が広くなる。全帯域で一つ一つの音の粒立ちが良く、細部の描写の緻密さがより向上するので、お勧めである。
OPA1622に替えると低域の量感と伸びが良く、高域は少し落ち着いた感じになった。
解像度や音場の広がりはOPA627程の変化は無いが、少し良くなっているように感じられる。
落ち着いた音が好みの場合や、低域がもう少し量的に欲しい場合は、この組み合わせもアリだと思う。
LME49720に替えると高域のきらびやかさと伸びが心地よい。低域は量感が少し薄く、よりスッキリした印象で、解像度と音場はOPA1622より高く広い。
ヴォーカルのマイクやEQ処理の方法によっては描写が少し神経質になるところがあるが、高能率なヘッドフォンで低域を少し減らしたい場合などには試してみるのも手だ。
全ての保証が効かなくなる為、自己責任の範囲で楽しんでほしい。

USBにPGNや電源にリトルスージーを使うと音質の変化を楽しむ事が出来たので、持っているユーザーは是非試してほしい。

総括
DAC-X5Jから外観は殆ど変わっていないが、本機の音質はしっかり進歩しているように感じた。特に良くなったと思われる部分は、解像度と音場表現と中高域の歪み感の少なさである。
入力がUSB、同軸、光に対応して、しっかり使えるヘッドフォンアンプも付いている本機は、お勧め出来る逸品である。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で30年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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