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Labo’s View 033 FX-AUDIO- FX-501Jx2

      2019/09/04

『ダイナミックな音のデュアルモノパワーアンプ』

オリジナリティーのある業務用機的なデザインモチーフが目を引く、モノラルアンプシリーズと同じくMCU制御のステップアッテータタイプのデュアルモノラルパワーアンプが発売された。
モノラルパワーアンプのFX-501JやFX-1001Jではスピーカー端子至近距離接続や左右チャンネル別筐体によるチャンネルセパレーションの向上等があったが、本機ではアンプICを左右独立(デュアルモノ)として2ch分を一つの筐体に入れていているが、セパレーションはどのくらいなのか?また、前段増幅段が付いた事でどのような変化があったのか?ステップアッテネータの使いこなしを含めレポートする。

最初からガッツのある立ち上がりの良い音を聴かせてくれる。しばらく使っていると歪み感が減ってくるが、100時間を超えたあたりで落ち着いてきた。少し余裕をもって150時間ぐらいのエージングを済ませたところで試聴に入る。電圧は24Vでドライブした。
本機は電源電圧で音量(増幅率)が変化しないタイプである。

全体的な印象は、中低域にパンチのある、立ち上がりの良い元気な音である。
業務用機でも定番のNE5532との相性もなかなか良い。立ち上がりの良さには、前段増幅用に使っているオペアンプNE5532からデジタルパワーアンプIC TPA3118への物理的な距離の短さと、ボリュームが無い事が効いているように感じる。

音量感のバランスは中高域はフラットな感じで、低域に少しふくよかな感じがある。バスドラムやピッチの低めな深胴スネアドラムがちょっと豊かな響きになるので、クールな感じよりは躍動感のある雰囲気になっている。
空間表現はスピーカーの外側は少し薄めではあるが、後方まで再現出来る。高さ方向もまずまず。
音場は奥行方向が浅めではあるが、破綻の少ないもので、左右方向には独立した(デュアルモノ構成)パワー段が効いているようで、コーラスパートなどをしっかり描き分ける表現力を持っている。
解像度は少し高めで、自然な感じに描き分ける。
音像はまずまずの大きさで、定位は神経質な感じが少ない。元気の良いサウンドから想像する程にはボーカルが飛び出さず、聴きやすく仕上がっている。

本機はステップアッテネーターが特長である。
動作は音声信号がステップアッテネーターの固定抵抗を通る訳では無く、MCUを通して制御信号だけがデジタルパワーアンプIC TPA3118に送られて、増幅率が変化する仕組みになっている。
音声信号が普通のアンプのように可変抵抗(ボリューム)を通らない事によって、高音質にする設計で、歪み感や雑味感を減らす効果をもたらしている。

使い方としてはアッテネーターAT-01経由でDAC直結と、プリアンプ(TUBE-01J等)との接続が考えられる。
まず直結であるが、DAコンバータの出力をアッテネーターAT-01で適宜減衰させてから、本機に接続する事で、可変抵抗器を一切通らない音を楽しめる。AT-01を-20dBにセットすることで、大音量にしなくても良い感じに鳴らす事が出来てお勧めである。
DAコンバータに送るPC側の設定として注意してほしいのは、音量をコントロールする場合は24bit動作するアプリケーションとドライバでDAコンバータを動作させる事でbit落ちを低減させる事である。
プリアンプを使った接続時には良質な短いケーブルで繋いでほしい。可能であれば、本機からスピーカーの距離を短く、プリアンプと本機で距離を稼ぐ事で音質が向上する場合が多い。

また、ステップアッテネーターは増幅率を揃えることが簡単で確実な為、2ch以上のマルチチャンネルで複数台を同時に使う時にも便利である。

DC-Input端子は12V~24Vの入力に対応する。センターピンは2.5mmになっている為、2.1mm系のプラグを刺す時には変換コネクタの準備を忘れないようにしてほしい。
低めの電圧でも普通に動作するが、電圧によって僅かに音質が変わるので、好みの電圧を探すのはアリだ。大出力で使う場合は24V一択である。
本機は電源OFFでもパスコンが入った設計になっているようで、ACアダプタを動作させたまま24Vのプラグを刺す時に火花が出る事があったので、普段からプラグの挿入時にはACアダプタを外して動作しない状態にしてほしいが、本機では必ず守ってほしい。

12Vで動作させる時には余程の大音量でなければ放熱の問題は気にしなくて良いが、24Vで動作させる時には、上部を開けてセッティングしたほうが熱が籠らなくて良い。一般的にパワーアンプの上部は熱が発生するので開けておくが、発熱が少ないデジタルアンプに慣れてしまうと、下部において上部に積み上げたりしてしまうので、ほんのり温かくなる事がある。全く心配の要らない温度のように思うが気になる人もいると思うので、ここに記載した。

DC電源ノイズクリーナー・ノイズフィルターPetit Susieを使ってみたところ、スムーズな雰囲気で解像度と空間表現が向上した。お勧め出来る組み合わせと言える。

本機はオペアンプを交換して、音質変化を楽しむ事が出来るが全ての保証が効かなくなる為、自己責任の範囲で楽しんでほしい。
LM4562に交換すると、華やかさが増え、奥行方向の深さ、空間表現、解像度がかなり向上する。一方で、高音域がやや強めに感じる部分があり、元気さが僅かに減って若干神経質になってしまうが、組み合わせるスピーカーや環境によっては、かなり有効な選択肢である。
OPA627AUを2回路変換基板に載せたものに交換すると、元気さを少しも減らさずに奥行方向の深さ、空間表現、解像度がかなり向上する感じが流石である。繊細な表現力もアップした状態で迫力の増したビビッドな音質はお勧めである。
前述のDC電源ノイズクリーナー・ノイズフィルターPetit Susieと組み合わせると、魅力が更に高まる音質が楽しめる。
交換時に気になったのだが、ボディーの中間部が筒状でボリュームノブを外さなければ内部にアクセス出来ない為、上下で2分割になっているほうが嬉しいと思う。

総括
デュアルモノ構成としてTPA3118をParallel BTLで使う本機は、立ち上がりの良い元気な音を聴かせてくれた。
ボリュームを1つ減らせるだけでも音質面での効果は確実にあった。コストパフォーマンスは特に高く、レイアウトのしやすさ、特にステレオアンプとの入れ替えが簡単に行える事は実際に使いやすいところだ。
DC電源ノイズクリーナー・ノイズフィルターPetit Susieとの組み合わせでは、更に音が魅力を増すので、同時購入をお勧めしたい。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で30年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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