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Labo’s View 009 FX-AUDIO- FX-501J

   

『多彩な使い方が楽しめる、本格的モノラルパワーアンプ』

はじめに
NFJ & FX-AUDIO- 初の本格的モノラルパワーアンプが登場した。ルックスもなかなか本格的で、音質的な考慮と使い勝手の両方を兼ね備えたステップ式のゲインコントロールはとても使い易そうで、音質面でも期待出来る。多彩な使いこなしの方法を含め、試聴を進めて行く。

まず接続だが、一般的にはプリアンプ(コントロールアンプ)からの信号を入力してスピーカーに出力する。ミニマムな使い方としては、スマートフォン直結で使う事も出来る。また、プリアンプの出力をチャンネルデバイダーに接続して、チャンネルデバイダーの出力を本機に接続する方法や、サラウンドアンプのラインレベルのサラウンド出力を本機に接続する方法もある。
本機はモノラル(シングルチャンネル)仕様の為、ステレオで使う為には2台必要だ。

試聴
エージング前から歯切れの良いサウンドを響かせるが、48時間ぐらいで深みが出てくる。試聴は100時間を超えたところで行った。
全体的にモノラルアンプを左右独立で使うメリットをしっかり感じさせるセパレーションの良い音で、広い空間表現と躍動感のあるレベル方向の表現力が頼もしい。
低域は力強く、馬力のある感じだが、大味にならないタイトな感じが良い。
中域は少し艶表現が出来る感じがあり、ヌケの良さがある。
高域は元気であるハリのある感じの音質感だ。
レベルとしてはフラットな感じの中に重心が高くならない雰囲気を持つ。
定位はボヤけた感じのない、しっかりした感じで、実在感がある。音像は電圧でかなり変化する。
音場も電圧でかなり変化するが、左右方向の広がりは圧倒的である。前後方向は奥行側はかなりあるが、頭部の後ろ側への表現力はセッティングによって特に大きく変わる。上下方向へはそこそこあるが、電圧が高いと表現範囲が増える傾向だ。
解像度は、超が付く程ではないが、高めの方向で、これも電圧で変わる部分だ。

本機を2台使った時の電圧による音質傾向の変化は、電圧を上げる(12Vから24V)と、制動力が向上しタイトさが増す。低域の量感は制動力の上がった分が下がる。音像定位は点に近くなり、解像度も向上し音場は左右も広くなるが、後ろや上方向への表現力が増す。以上の事から、スピーカーとのマッチングをとる上でのフォーカス調整のようにも使える。また、好みによって電圧を12Vまでの範囲内で低めにセッティングするのも面白いと思う。

給電方法であるが、2台の揃った外部電源を使ってほしい。1台の外部電源の分岐はグラウンドループ※1グラウンドループ:アースがループしてしまう事。ノイズの発生や動作不安定、最悪の場合は故障の原因になるの問題があり、ダブルでモノラルアンプを使う意味が減ってしまうので、特にお勧めしない。
2台の外部電源はスイッチング方式でもトランス方式でもマイナス側の電位が低くなるようにデジタルテスターを使ってコンセントに刺すACプラグの方向を揃えると良い。

設置方法としては、通常のプリメインアンプのようにセンターや手元に設置する方法とスピーカーの真後ろにスピーカーケーブルを振動が伝わらないレベルで最短距離で繋ぐ方法がある。使い勝手が良くないが、最短距離を試す価値は多大にある。
本機をスピーカーケーブル12cmで接続した場合に起こった音質的な変化は、音像が極めて立体的になり、高級オーディオで上手くマッチングした時に現れる超実像感と上下方向の表現力を垣間見る事が出来た。価格レンジからすると想像を絶する現象だ。この記事を見たオーナー全てに試す事をお勧めする。

以上の事から、電圧、設置方法を組み合わせる事で、サウンドを多彩にコントロールする事が可能だ。スピーカーの真後ろに設置する方法は、ステレオアンプ1台では不可能である。

4段階のゲイン調整はボリュームを排除するという部分で、とても効果的に使われている。音質にも貢献している仕様だ。操作感もなかなか良い。ポジションにより入力インピーダンスが変化するので、カップリングコンデンサによるハイパスフィルターのカットオフ周波数も僅かに変化する。変化の方向はゲインを上げるとカットオフ周波数が上がる方向で、音質のコントロール要素にも使えるが、基本的には下げた方向でトータルのS/N比を稼ぐ方向のセッティングをお勧めする。
切替えはMCU制御で行う為、通電しながら行え、しかもノイズの発生はないが、切り替える際にミュートしている時間が約2秒有る為、曲を演奏中に行うと急に音が出ない時間が他人を驚かせる事があるので、曲の間などに注意して使ってほしい。
高能率スピーカーを使っていると-12dB〜20dBぐらいのアッテネーター※2アッテネーター:減衰器 音量を下げる時に使う。ボリュームより音質への悪影響が少ない場合が多いが欲しいと思う時があるが、今後単体のアッテネーターが発売される事を期待したい。

DC-Input端子はしっかりしたタイプを使っているが、センターピンは2.5mmなので、2.1mm系のプラグを刺す時には変換コネクタが必要なので、注意が必要だ。

ステレオtoモノラル変換機能を使う際は他のパワーアンプより先に電源を入れる事で、入力信号側に漏れる起動時のノイズを回避して注意して使ってほしい。

至ってシンプル。質実剛健である。

総括
2台買っても1万円に満たない(発売開始時)本機は、これ以上無い程のコストパフォーマンスで、モノラルアンプ2台+プリアンプの夢のセパレートアンプを、本機2台とTUBE-01JまたはTUBE-03Jの1台で実現してしまう優れものだ。力強い音質と音場表現が広い本機は、お勧めの逸品である。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で29年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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1. グラウンドループ:アースがループしてしまう事。ノイズの発生や動作不安定、最悪の場合は故障の原因になる
2. アッテネーター:減衰器 音量を下げる時に使う。ボリュームより音質への悪影響が少ない場合が多い

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