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Labo’s View 001 FX-AUDIO- D302J+Revision2

   

『精密感の高い音質』

フルデジタルアンプ※1フルデジタルアンプ:デジタル入力から出力段まで全てがデジタル回路で構成されているアンプの事。上手く設計すると音の純度を保ちやすい事が特長。普通のデジタルアンプは出力段がD級増幅である事は同じだが、ボリュームやトーンコントロールはアナログである事が多く、デジタル入力から出力段へは一度アナログにして再度デジタルにしている為、音の純度が低下しやすいの特長を存分に発揮し、価格を大幅に越えた精密で緻密な音である。
使い始めは比較的おだやかな音質だが、エージングが進んでくるとクリアーで解像度の高い音質になってくる。
全体的に歪み感が抑えられており、特に中域から高域の透明感はなかなかのものである。
フォーカスがクッキリとした音像で、音場表現は大げさ過ぎず精密で確度の高い再現性をもつ。小音量時にもイメージが崩れにくく、デジタルボリュームの為にギャングエラー※2ギャングエラーとは:ch間で音量が異なる事。特に最小近辺で起こりやすいが起こらないところは深夜のリスニングや高能率スピーカーで聴取距離が近い時に魅力的だ。ボリュームコントロールの100ステップは小音量側にステップ数を細かくとっており、小音量時の使い勝手は極めて高い。
全体的に解像度は高めの傾向だが、無理にエッジを立たせたような感じがなく、自然な雰囲気の範囲内で聴きやすい音質に仕上がっている。高級オーディオに負けない音質をコンセプトに開発された部分と言えよう。

トーンコントロールの品質が良く、作用する周波数の設定も使い易く、デジタルでのトーンコントロールに起こり易いバス/トレブルの全開方向でのクリップノイズ※3クリップノイズ:レベルの高い信号で刺激性の高いノイズが発生する事。回路内部で信号レベルが最大を超えた時に発生するも無く、積極的にスピーカーやリスニングルームの補正に使える。ダイレクトモードにするとトーンコントロールの設定を保持したままアンプの周波数特性をフラットに出来るので、トーンコントロールの効果の確認やヘッドフォンかスピーカーのどちらかにトーンコントロールを掛けたい時などに便利。
この使えるトーンコントロールの搭載もあって、接続するスピーカーとの相性はセンシティブにならずに済むが、中口径以下のフルレンジスピーカーであれば、精密感の高い音場表現を手軽に体験する事が出来るので推薦したい。

本機は豊富で柔軟な入力系を持っており、USB入力にはPC、同軸/光デジタル入力にはDVD/CDプレーヤー、DAT、ゲーム機等、AUX(アナログ)入力には、カセットデッキ、オープンリールデッキ、チューナー、アナログ接続でのスマートフォンや携帯オーディオプレーヤー、真空管ラインアンプのTUBE-01を繋ぐ事が可能で、この大きさの筐体であるにも関わらずUSB/光/同軸/AUXを切り替えられるところは、大変便利である。

アナログ入力の音質だが、WIMA製のフィルムコンデンサによりオーディオ的な華やかさがあり、24Bit/96KHz動作のA/Dコンバーターと相まって使える音質に仕上がっている。

ヘッドフォンアウトの音質だが、MDR-F1での試聴ではNE5532Pの程よく力強さ、キレの良さがバランスしたスッキリした傾向である。ハイインピーダンスのヘッドフォンを押切るドライブ能力は無いので、インピーダンスが低めのヘッドフォンとの組み合わせを推奨する。

上記の基本的な特長の上に、Revision2ではSTA369BWの内部DSP(FFX処理段)を最適化し、アナログ回路の更なるブラッシュアップが行われた為、効果としてローエンドのフラット感が増し、位相精度が向上した影響で、より正確なセンター定位と深みのある奥行き、リアル感を増した左右方向への広がりで、スピーカー出力ヘッドフォン出力ともRevision1より解像度が高く、歪み感もより少なくクリアー感が増した別物と言って良い程の音質になっている。
使い勝手も向上しており、トーンコントロールのリセット等は設定時に便利さを実感出来る。

オペアンプの乗せ換えをOPA627AUとOPA1622で試してみた。

OPA627AU装着時はモニター的な音質で、全ての周波数帯で解像度が高く、スピード感溢れる音質になる。大音量時の音崩れ的な歪みはかなりハッキリしているので、中音量以下での使用を推奨する。
OPA1622装着時は解像度はOPA627に譲る帯域があるが、低域から中域までの押し出し感の強さはなかなか良い感じである。大音量時の歪みはOPA627よりもソフトで、音量を大きくして使う場合はこちらの選択も有効である。
乗せ換えにはリスクが伴うので、あくまで自己責任で行う事。

〜総括〜
直接USB接続が出来て、同軸と光のデジタル入力が出来て、アナログ入力も付いていて、ハイレゾ対応でヘッドフォン出力付きで、このクオリティでこの価格である。買って損の無いアンプである事は間違いない。

本機では電源回路の工夫がかなり効いているが、リトルスージーやファインメットビーズ等で解像度やクリアー感が更に増すので、是非試して頂きたい。

 

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で29年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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1. フルデジタルアンプ:デジタル入力から出力段まで全てがデジタル回路で構成されているアンプの事。上手く設計すると音の純度を保ちやすい事が特長。普通のデジタルアンプは出力段がD級増幅である事は同じだが、ボリュームやトーンコントロールはアナログである事が多く、デジタル入力から出力段へは一度アナログにして再度デジタルにしている為、音の純度が低下しやすい
2. ギャングエラーとは:ch間で音量が異なる事。特に最小近辺で起こりやすい
3. クリップノイズ:レベルの高い信号で刺激性の高いノイズが発生する事。回路内部で信号レベルが最大を超えた時に発生する

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