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Labo’s View 008 FX-AUDIO- FX-01J TYPE-B

   

『小さなボディにバランスのとれた高音質を充填したハイC/Pモデル』

コンパクトなボディにハイレゾ対応のBRAVO SA9023+Burr-Brown PCM5101Aというコストパフォーマンスを更に追求した意欲作。スペックの高さとコンパクトなボディがどんな音質に仕上がっているのか。兄弟機のFX-01J TYPE-Aとの違いもチェックする。

エージング前から軽やかな音質を聴かせる。暫くすると密度感が増してくるので、そのままエージングに入る。部品点数の少なさから短時間でエージングが進むかと思われたが、MELF抵抗やECHU(積層メタライズドPPSフィルムコンデンサ)が意外とエージングを必要としたようで、48時間程度で深みのある音質に安定したきた。試聴は基本的にFIRの設定で行ったという部分はTYPE-Aと同様である。

全体的にはUSBバスパワーでドライブされているとは考えにくい程の安定した音質、深みのある音場を聴かせる。また、出力がダイレクトカップリングなので、位相感が素直な音が印象的。MELF抵抗とECHUがサイズと価格を超えた音場表現力を見せるところはTYPE-Aと同様である。
周波数方向には低域はゴリゴリに押し出してくる感じは無いが、程よい感じの量感を持つ。意外と超低域まで再生している。中域は心地よいハリが少し有る。高域は量感も丁度良く、破綻の少ないもの。僅かに暖かみのある方向の仕上がりは本機の特長と言える。
レベル方向には程よいアタック感で、スピード感が足りない感じは無い。
音場は不自然に広げすぎるような部分は無いが、かなり自然で、左右方向にはしっかり広がるが、上下や前後方向の表現力はTYPE-Aより少なめ。
音像は比較的コンパクトに纏まって、センター定位も良好。音数が多い時に音像がボヤけるような事も無い。
解像度は予想以上に高めで、外付けのDACを付けた意味として捉え易い部分もTYPE-Aと同様である。

TYPE-Aとの違いは奥行の深さと音場感がやや縮小するが、実音と付帯音のバランスや塊感は本機が上回るような局面もソースにより存在する。アナログプレーヤーのカートリッジのように、聴くソースによって使い分けるのも面白い。

動作が非常に安定しており、USB接続時の認識も極めてスムーズで、相性問題が出にくい感じだ。

本機はTYPE-Aと同様にDACチップ内のディジタルフィルタを変更出来る。
FIRとは有限インパルス応答 (Finite Impulse Response)で直線位相が可能で非再帰構造から動作が安定しており、クセの少ない音質が特長。急峻な特性を必要とするDACのローパスフィルタの場合は高いフィルタ次数が必要になる為、回路規模が大きくなり、群遅延が大きくなるところが難しいところ。殆どのDACのディジタルフィルタはFIRを採用している。切り替え可能な場合もデフォルト設定はFIRである。本機も標準設定としてはFIRをお勧めする。
IIRとは無限インパルス応答 (Infinite Impulse Response)で群遅延が少なく、回路規模も小さく収まるところが設計上の特長。非線形位相がやや癖のある高域に感じる部分と群遅延が少ない立ち上がりの良さをどうバランスさせるかが難しいところである。
本機をIIRフィルタに設定すると、高域の歪み感が僅かに増えるが、ソースによってはキレの良さやヌケの良さが僅かにアップしたようにも感じられる為、ロック、メタル、EDM系のソースには試してみる価値が大きくある。また、映像機器との同期運転時にはFIRより音のタイミングを早く出来る。(=低遅延である)

切り替えスイッチは起動時にDACチップから一度スキャンされる構造の為、通電(動作)中は切り替わらない。一度USBケーブルを抜いて、再度起動させるとスイッチで設定した状態になる。

総括
強烈なコストパフォーマンスを持つ本機は最初の一台目としてはもちろんお勧めであるが、塊感のある音質にIIRフィルタの設定で高性能DACとはひと味違った雰囲気を出せる為、音質面でのバリエーションを増やすという意味で2台目以降にも面白い存在である。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で29年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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