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Labo’s View 003 FX-AUDIO- PH-A1J

      2018/05/01

『超ハイコストパフォーマンスのディスクリート出力ヘッドフォンアンプ』

ディスクリート出力回路構成のヘッドフォンアンプがついに登場した。ディスクリートの良さはどこにあるのかを中心にチェックする。

使い方はDACのラインアウトから本機に繋いで、本機からヘッドフォンをドライブするという使い方と、DACの代わりにスマートフォンを直接つなぐ使い方だ。
組み合わせるDACはFX-01JやFX-02J、DAC-SQ5などのヘッドフォン出力が無いモデルにはもちろん、DAC-X6J、X5J、X4J、X3JなどにつなぐとDAC直結との違いを楽しめる。

エージング前から印象の良い力強さと繊細さを兼ね備えた音に期待が持てる。
エージングを24時間ぐらいで、本来の音質が見えてくる。
制動感のある力強い音が印象的。高出力のヘッドフォンアンプならではの低域〜中域にかけてのヘッドルームの高いレベル方向に伸びやかな音が良い。ローエンドはかなり伸びていて、この部分だけでもヘッドフォンアンプを別体で使う意味をハッキリ感じる事が出来、ディスクリート出力構成の良い部分であると言えよう。
高域はこもった感じのないスッキリとした音で、ディスクリートヘッドフォンアンプにありがちな大味な感じや歪み感が少なく、6kHz~8kHzの出過ぎる感じがなく好感の持てるサウンドだ。
解像度に関しては、全体的にセパレーションの良いサウンドが印象的である。リバーブの消え際までしっかり表現出来るところも好感が持てる。低域から中域にかけての解像度はかなり高いものがあり、高域では破綻しないようによくまとめた感じになっている。
音場感は不自然な広がりにならない範囲の比較的正確な方向で、定位も正確で精度が高めの方向の真面目な音作りである。
ディスクリートでこれだけのゲインであれば、ノイズフロアはかなり低いほうだと思われる。価格を考えると驚異的ともいえる部分だ。

使用シーンとしては、DACのラインアウトを入力する事はもちろんの事、スマートフォンの出力を入力してスタビリティの向上したサウンドが手軽に得られる。
本機はバッテリー内蔵ではないので、持ち運ぶ際には12Vの電源を別途用意する必要がある。
ヘッドフォンのインピーダンスには比較的に柔軟な対応力があるので、あまり神経質にならなくて良い。

本機はオペアンプを交換して変化を楽しむ事が出来る。保証が効かなくなるので自己責任というのはいつも通りだが、発振には注意したほうが良さそうだ。ハイスペックなオペアンプでは音自体に発振の影響は無かったが、温度が上昇する例が見受けられた。試聴した中ではNJM4580DDが、より暖かみのある音質で興味深かったという事をお伝えしておこう。

電源系のチューニングもかなり変化を感じられ、リトルスージーを使うとローエンド、ハイエンドともに更に伸びやかな音になる。中高域が少し華やかになる感じもあるので、音楽やヘッドフォンとの相性を考えながら楽しく追求してほしいところだ。

本機は低インピーダンスのヘッドフォンを使っていると少し熱を持ち易いので、その場合は放熱しやすい環境で使う事をお勧めする。
気になったことろだが、ボリュームを絞りきったところでも僅かな小さい音がするが、完全な無音が使い方が必須の場合は注意してほしい。

総括
FX-AUDIO-の記念すべきヘッドフォンアンプ初号機である本機は、ディスクリート出力回路構成の利点を上手く引き出し、超ハイコストパフォーマンスに仕上げられていた。筆者はディスクリート至上主義では全く無いが、本機のセッティングには好感を持った。単体ヘッドフォンアンプを持っていない人には、まず1台買ってみる事をお勧めする。また、既にヘッドフォンアンプを持っている人でも、更にパワーが出る機種を検討している人には特にお勧めである。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で30年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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