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Labo’s View 014 FX-AUDIO- FX-50

      2018/06/01


『真面目に造られた、新スタンダードモデル』

「肉」というフロントパネルが気になるデザインである。デザインと内部の設計はイメージが異なっており、フロントパネルの印象より真面目な音が印象的で、出力も十分にあり、高い実用性を持っている。パワースイッチはMCU制御のソフトウェアで動作するタイプで、ON/OFF時のポップノイズは皆無である。試聴は電圧24Vで行った。

エージング前は少々硬質感があり、「肉」のマークに期待されるパワー感溢れる、少々荒っぽい音質が期待される感じがあったが、エージング24時間後には、すっかり真面目なスッキリとした音に軽く「やられた」感を持った。
周波数方向のレスポンスはフラットな感じで、若干中域に華やかな感じがある。
低域はゴリゴリに押し出してくるタイプでは無いが、ほどほどの量感。目立った歪み感も無い。
高域も尖った感じや無理なきらびやかさは無いが、こもった感じも無く、ギラギラとした歪み感も無く、丁度良い感じである。
音場の広がりは無理に広げる感じは無いが、適正な左右方向の広がりで、音像定位も無駄に膨らんだところが無い。前後方向には組み合わせるスピーカーにもよるが、ヴォーカルの立ち位置に特徴があり、上手い組み合わせだと綺麗に前に出るが、相性が良くないと若干奧に入る感じになる場合もあった。また上手い組み合わせの場合、中域の空間表現には包み込まれるような、後方からの表現が出来るソースがあり、前後方向の表現力は価格を大きく超えた感じだ。その状態では上下方向の表現もなかなかのものがある。

増幅ゲイン切替では、アンプの入力インピーダンスが変わる事を利用して、低域のカットオフ周波数を変える事が出来る。厳密に言えば、ゲインを上げると入力インピーダンスが下がり、カップリングコンデンサのカットオフ周波数が上がる方向に変わってしまう訳だが、これを活用すると単なるゲイン調整以外に、超低域を少し減らしたい時にゲインを上げ側にセットする事で対応する事が出来るのはTipsとして押さえておきたい。上流側の機器の出力回路のインピーダンス特性などで相性の部分があるので、一概に「どのポジションが良い」とは言えないところがあるので、実際に使う時には色々とゲインセッティングの違いを試してほしい。

本機は12V〜24Vと広い電圧に対応しているが、音質的には24Vを供給した状態をお勧めする。
DC-Input端子はしっかりしたタイプを使っているが、センターピンは2.5mmなので、2.1mm系のプラグを刺す時には変換コネクタが必要なので、注意が必要だ。

総括
全体的にとても真面目に作られた印象で、ハイコストパフォーマンス機である。ハイコストパフォーマンスの実力派アンプがひしめくNFJの商品ラインナップの中にあって、一つ選択肢が増えた事は少々悩ましい。「肉」に秘められた意味は果たして…謎は深まるばかりである。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

音楽業界で30年余年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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