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Labo’s View 035 FX-AUDIO- Petit Susie

      2020/04/04

『待望の完成品電源ノイズフィルター登場』

筆者はLittle Susieを10台以上組み立てて、容量や耐圧を変更して用途に合わせたりを行いながら、USB電源用〜クルマ用まで身の回りにあるDC電源機器で、効果の出そうなものに多数使っている。もう少し数を増やしたいところでLittle Susieの再発売を心待ちにしていたが、完成品がPetit Susieという妹版として発売された。Petit Susieの開発に至った経緯は公式ブログを参照してほしいが、その性能とコストパフォーマンスには圧倒的なものがある感じがする。音質への効果や使いこなしのノウハウについて、しっかり掘り下げていきたい。

最初から効果的な音の変化を見せる。ハッキリとしたエージングの効果は無いように思うが、試聴スケジュールの関係で100時間程度使ったもので試聴を始める。
まず、一般的な12V5Aの中国製スイッチング電源とFX202J(2nd Lot改)の間で使ってみた。
ノイズフィルター無しに対して、音の粒立ちが激変である。リバーブの隅々までが聴こえるようになった感じに聴こえる。聴感上のS/N比(シグナルノイズ比)もかなり向上した感じの音で、音の立ち上がりや切れ際、リバーブの切れ際が明確である。
音場再現能力がかなり高まるようで、筆者の環境では高さ、上下方向の表現力、頭の後ろ側への定位がしっかり出来るようになる。センターボーカルの定位と上下方向の表現が心地よい。
中高域の澄んだ感じの実音が印象的で見事なチューニングである。
妹版という音質の変化ではなく、上記の部分においてはLittle Susieを凌駕してしまっているように感じられた。
次に12V5Aの中国製スイッチング電源とDAC-X6J(1st Lot改)の間で使ってみると、ノイズフィルター無しに対して、滑らかな感じの音になり、聴感上のS/N比も向上している。方向性としてはアンプに使った時と近いが、変化量としてはアンプの電源入力に使った方が効果が大きく感じた。
スイッチング電源での試聴において、本機を接続した事によって好ましく無い音質になる組み合わせは筆者の環境では無かったので、安心して使える仕上がりと言える。ACアダプタの回路構成と入力される機器の回路構成によっても変化の仕方が変わってくるので、是非トライしてほしい。


コンデンサの容量がLittle Susieより少ない為、起動時の突入電流が少ないので、余程小さな容量のACアダプタで無ければ保護回路が作動する事は無い。音質的な部分において少し余裕を持たせた容量のACアダプタで使う事はお勧めしたい。
電圧は最大で35Vまで対応している。電流は28V以下では5Aまで対応、28V以上35Vまでは最大4Aである。殆どのシーンで24V5Aまでの範囲に入るので、超える事は少ないと思うが、28V以上のアダプタを使う時には少し注意しておいたほうが良い。

DC-Input端子はセンターピンは2.1mmになっている為、2.5mm系のプラグを刺す時には2.5mmから2.1mmへの変換コネクタの準備を忘れないようにしてほしい。
DC-Outプラグのセンターピンは2.1mmと2.5mmの両対応で使いやすい。2.1mmから2.5mmに変換して使っていた場所に本機を使うと、それまで使っていた変換コネクタが不用になるのは嬉しい。


本機は専用のアクリルケースキットを装着することで、よりオーディオ製品的な外観にする事が出来る。見た目のスタイリッシュさは減るが、筆者は基板と部品を包んでいる保護チューブをなるべく残すように四隅の支柱に干渉する部分だけを切り落として装着して使っている。保護チューブを全て取ったものと比較試聴は出来ていないのだが、保護チューブによるコイルやコンデンサーの制震に効果が出ているように考えられるからである。基板の露出も殆ど無くせるのでお勧めしたい。
専用4段スタックキットを使うとアクリルケースキット1つで4台を重ねて使う事が出来る。コンパクトに纏められて便利である。


総括
使っているアンプやDAC等の音質的な潜在能力を引き出す素晴らしいアイテムという事が確認出来た。コンパクトに纏められているので見た目は「妹」だが、「姉」のLittle Susieを凌駕する部分があり、とても魅力的な本機は、必携の逸品である。筆者も在庫が落ち着いてから追加での購入を行いたいと思う。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

音楽業界で30年余年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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