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Labo’s View 021 FX-AUDIO- FX-00J

      2018/10/01

『潔さと繊細さが高度に結びついた超コンパクトDAC』

FX-AUDIO-の最小、最軽量DACが発売された。DAC-ICはESS社製のES9023PでDAC-H6Jと同じものが使われているUSBレシーバにはVIA社製のVT1728Aを使っているという。USBバスパワーの超小型機であるが、かなり興味を持てる感じがするが、実際の出音のクオリティーはどうなのか?

接続直後から、予想以上に期待出来るスッキリとしたサウンドを聴かせるが、ジワジワと音場感が良くなってくる。エージング100時間程度でかなり音場感が安定してくるが、200時間ぐらいの状態でレポートする。

全体的な印象は、驚く程にフラットで細部まで繊細である。
レベルの周波数方向のレスポンスは超フラットで、足りない部分は無いが、出過ぎているところも無い。極めて素直で好感の持てるバランスで、ソースを選ばないところが良い。
解像度はかなり高く、細かい音や音同士の重なった部分も綺麗に不自然にならない範囲でしっかり分離する。中高域は特に素晴らしい。
音像は小さめで、タイトで締まった印象である。
音場は本機のエージングでもっとも変わったところだが、広くて正確さを感じる素晴らしいものだ。左右方向はスピーカーの外側の表現もしっかり、奥行、前への張り出しもリアリティのある立体感があり、上下方向もなかなかの描写を見せる。頭の後方への回り込みもかなり頑張っている。全体的に音像と合わせて華やかで写実感のある仕上がりになっており、価格を超え過ぎている出来に素直に驚いた。
聴き込む程に良さが感じられる、中域の瑞々しさ、ボーカルの生々しさ、全体的に歪み感の少なさからくる透明感は、超小型に設計する事による配線距離の短かさによるところが大きいように感じた。

使い方はとてもシンプルで、本機のUSB B端子をPCやスマートフォンに接続し、ピンジャックのラインアウトをアンプ等に接続するだけである。
対応しているサンプリングレートは44.1/48/88.2/96kHzで、ビットデプスは16bit/24bit。サウンドファイルの設定と同じにするのが基本である。本機に搭載しているES9023Pも内部にオーバーサンプリング機能が内蔵されており、最適に処理されるようになっているが、「あえて」PC側でオーバーサンプリングする事も良い場合がある。その場合はCD(44.1kHz/16bit)の場合は88.2kHz/24bitの組み合わせをお勧めしたい。逆に192kHz/24bit等のファイルの場合は、96kHz/24bitがお勧めである。録音コンディションやマスタリングの手順によっては、誤差を出したほうが納まりの良い音になる場合もあるので、その場合はサンプリングレートの比率が整数にならない設定でCDから96kHzや192kHzのファイルから88.2kHzで試聴してみるのも面白い。

本機はDAC-ICの出力を直接ラインアウトする構造の為、特に交換出来るICソケット等は無いが、USBと音声に良質なケーブルを使用すると、シンプルな構造だけに効果が分かりやすい。PGN(USBノイズフィルター機構付きUSBスタビライザー)を使うと、音場表現が変わって面白い。筆者の環境では、前後の空間の表現精度が上がり、上下方向の表現力が増したように感じた。持っているユーザーは是非、使ってみてほしい。

総括
明るくて快活、価格を大幅に超えた音質、音場感を持つ本機はかなり強力にお勧めである。FX152J PROと小型スピーカで超マイクロシステムを組むのも良し、PH-A1Jと組み合わせて濃密なヘッドフォンサウンドを楽しむのも良し、TUBE-03JとPH-A2Jを組み合わせて積極的に音質をコントロールしてヘッドフォンで楽しむのも良し、FX-2020A+ CUSTOMとスピーカーで緻密さを楽しむのも一興である。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で30年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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