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Labo’s View 005 FX-AUDIO- FX-02J+

      2018/05/02

『手軽に高級機の雰囲気を味わえる、超高性能DAC』

あのWolfsonのハイスペックDAC「WM8741」を搭載したDAコンバータの登場である。
コンパクトにまとめられた外装と、USBバスパワーオンリーという仕様から、果たしてどんな音がするのか。

試聴時の接続は
ハードウェア MacBook(OS10.5.8)、MacBook Pro (OS10.6.8)
デバイスマネージャはOS標準のサウンドマネージャ
アプリケーションはiTunes、Audirvana、Vox
PGNはSelf Powerモードで使っている。

まず最初の印象は雰囲気の良い中域が聴こえてくるが、エージングで印象がかなり変わってゆく。24時間程度エージングすると、深みのある中域が心地よい音になってくる。
中高域の歪み感の少なさ、滑らかな質感は高級機の雰囲気を感じられ、DAC-ICの動特性がアナログに近いフィーリングを目指しているところがハッキリ伝わってくる音だ。
この音をどこかで聴いた感じがしたが、アナログのオープンリールレコーダーでテープ速度を38cmや76cmにした時のキメ細やかな感じに雰囲気が似ているよう感じた。
低域はゴリゴリの押し出し感のようなものは無く、分解能の高いきめ細やかな方向である。
全体的に立ち上がりの良い音であるのに神経質な感じにならないところにバランスの良さを感じる。
空間表現は次元が違う感じがするぐらいにホログラフィックな表現力を見せる。高いS/N比と正確な位相がリバーブの雰囲気やリリースの最後の瞬間までも正確に表現してくる。
音楽的には、各パートのフレーズが表情豊かに奏でられ、音長の表現力が高く、とてもドラマチックである。シンバルのシズル感が良い感じに表現出来ることろが印象的だ。

USB端子の横にある通信状態を表示するLEDは輝度が高過ぎるように思う。特にデータ通信中の点滅は気になるところである。ツヤ消しのメンディングテープ等で拡散させたりすると良い。
試聴機は内部の基板と外装のサイズが少しあっていないようで、揺するとカタカタと鳴ってしまうところはちょっと残念なところではあるが、スペーサーとしてテープ等を干渉しないように張る事であっさり解決出来た。
本機は88.2kHzのサンプリングレートがVT1729の仕様で選べないので、CDはソフトウェアでのオーバーサンプリング無しで聴く事になるが、DAC-ICの内部でのオーバーサンプリングが優れている為、不自由さをあまり感じないし、むしろネイティブのサンプリングレートで良い音が出る方が、使い勝手が良いとも言える。

試聴に使っているMacBook2台は、USBの電源ノイズが比較的少ないほうなのだが、PGNの効果を感じるので、既に入手されているユーザーは使ってみてほしい。現在PGNは売り切れという事だが、早期のPGNの再発売かUSBスタビライザーの新しいモデルの発売に期待したい。
USBケーブルは良質なものを。PCはなるべくCPU負荷を下げ、割り込みを安定させる為に不必要なアプリケーションは立ち上げ無い状態で使ってほしい。

本機はローパスフィルタにNE5532、I/V変換にTL072を搭載しているが、他のオペアンプに載せ替えが出来るところは嬉しいところだ。保証が効かなくなる為、自己責任ではあるが更に好みの音の方向にする事が出来る。
筆者はローパスフィルタI/V変換共にOPA627はある意味「鉄板」のような感じでとても良いが、
ローパスフィルタにLME49720、I/V変換にOPA1622の組み合わせがコスパも良く、なかなか面白かった。組み合わせによってはデフォルトのNE5532とTL072を超えられない事が多々あり、NFJのセッティングが良く頑張っている事も実感出来る。

総括
価格、大きさから想像することが出来ない程のクオリティーの、ある意味「とんでもない」商品である。聴き疲れしにくい歪み感の少ない音質は長時間のリスニングに使いたくなるもので、持っている音源を片っ端から効き直してみたくなる程のクオリティーは価格からはありえない部分だと言える。
低域の押し出し感や接続先の機器のインピーダンスが特別に低い場合に、USBバスパワーで電源供給している事を僅かに感じる事があるが、殆ど気にならないレベルである。むしろUSBバスパワーでこれほどの静粛性が得られている事の驚きのほうが大きい。文句無しに「買い」と言える秀作である。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で29年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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