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Labo’s View 022 FX-AUDIO- TUBE-00J

      2018/12/03

『もう一つの真空管ラインアンプ』

TUBEシリーズのノウハウを注ぎ込んだ新しいモデルTUBE-00Jが発売された。機能的にはTUBE-01Jと同じ真空管ラインアンプであるが、バッファにオペアンプNE5532を搭載し標準付属の真空管が6K4に変更になっている。どんな音を聴かせてくれるのだろうか?

まず、真空管装着の儀だが、真空管を落として割らないように、注意して行ってほしい。真空管の足の向きに注意して、それぞれの穴の中央にまっすぐに入れるように。

本機の接続は、DAC出力、CDプレーヤーの出力、スマートフォンや携帯プレーヤーの出力のあとと、パワーアンプの手前、ヘッドフォンアンプの手前、ADコンバータの手前等の既存の配線に割り込ませるイメージで行う。扱える信号レベルは入力、出力ともラインレベルだ。レコードプレーヤーのピックアップ出力をそのまま入力することは出来ない。レコードプレーヤーにフォノイコライザーが内蔵されていて、ラインレベルで出力出来る機種であれば接続可能だ。

最初は硬めの音がするが、48時間程度でこなれた感じになってくる。100時間を超えたぐらいの状態で試聴を始める。

ラインレベル(2Vrms)系に対しては、かなり明確な反応を見せ、エキサイター的な効果が解りやすい。TUBE-01Jのような入力感度切り替えは無いので、適宜入力ソースに合わせたVol設定を行う。筆者は音量レベルが高いソースは10時ぐらい、レベルが低く、且つ、少し派手に効果を付けたい時にはそれより大きい方向で使用している。
全体的にエキサイター的な効果がとても解り易いのが本機の特徴で、TUBE-01Jと違った方向の味付けで使えるシーンが広がったのはありがたい。

周波数方向に対してフラットな仕上がりで、レンジは欲張らず、低域、高域とも程よく伸びている。音量方向に対しては、01Jよりもリニアな部分とノンリニアな部分がハッキリ別れるので、使いこなす上でのレベルの設定が重要である。
音場感については奥行方向の陰の成分が解り易い仕上がりで、立体感が増えたように感じる。左右、前後、上下ともソースの内容をしっかり再現する方向に感じる。
解像度は適切なレベル設定の場合には上がったように感じる瞬間がある。特に中域に面白い変化を感じた。TUBE-01Jのツヤとかとは違った方向で、ソースによっては、より生々しく感じる方向の変化があり、回路構成や真空管の違いもしっかり感じられる。この生々しさ感は真空管の増幅度のノンリニア部分によって、残響成分がエンハンスされる為ではないかと思う。
音像は大きくなりすぎること無く、比較的シャープな仕上がりである。

DC-Input端子はスタンダードな2.1mm系である。本機は昇圧回路があるので、入力電圧は12Vを守って使ってほしい。トランス電源等では負荷によって電圧が変わるものがあるので、注意が必要だ。

本機は真空管とオペアンプを交換して変化を楽しむ事が出来る。
まず、真空管の交換だが公式にアナウンスされているように6J1のミル・スペック選別グレードに変えてみると倍音の変化が透明感のある心地よい感じの音に変化する。音場感の深みが増し、立体感が強烈な印象で大変お勧めである。レベルを上げてオーバーロードさせた時の変化は6K4の時とはかなり異なり、低域の信号で全体の音量レベルが変調する感じが少ないので、好みに応じて使い分けてほしい。
次に真空管を6K4に戻してオペアンプをNE5532から変換基板で2回路にしたOPA627に変えてみると、立ち上がりの良い音になり、メリハリがあり音像のクッキリ感が向上する。オーバーロードさせた時の感じもより激しい方向で、実に面白い。
オペアンプをOPA627のまま真空管を6K4から6J1のミル・スペック選別グレードに変えてみると、音場感が向上して更に立体感が強烈になりホログラフィックな音像が展開する。音量方向の立ち上がりもよく、若干の音質的な華やかさも追加されて、この組み合わせが筆者は一番気に入った。
真空管を6J1に交換したまま、オペアンプをNJM4580DDにしてレベルを低めで使うと、しっとり系の落ち着いた感じの音になり、コントロール要素としてかなり使える。
今回の試聴を行ってみて、オペアンプを交換するのであれば、真空管の6J1への交換を先に行ってみるほうが良いと感じた。
オプションの真空管制震リングもマイクロフォニック効果を下げる方向で効くので、試してみてほしい。
オペアンプの交換はケースを開ける必要があり、全ての保証が効かなくなる為、自己責任の範囲で楽しんでほしい。

総括
本機は真空管の前段にオペアンプのバッファがある点がポイントで、しかも価格が上手く抑えられている。TUBE-01Jと本機はかなり音質的な方向性が違い、よりアクティブな音作りの方向になっていて「もう一つの個性」を感じた。エキサイター効果がハッキリした音質感で爽快感のある音場とクッキリとした音像は、真空管の交換とオペアンプの交換によって、音質傾向がかなり奥深く調整が可能であり、強力な音質調整ツールとなるポテンシャルを持っている。お勧め出来る逸品である。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で30年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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