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Labo’s View 020 FX-AUDIO- FX-502J PRO

      2018/09/27

『積極的にリスニングに使えるトーンコントロール内蔵モデル』

フラットでスッキリした音質が特長のFX-502Jと同じ50W出力クラスで、トーンコントロールが付いたモデルが新たにラインナップされた。トーンコントロールが付く事で音質への影響や積極的に使いこなした場合の効き具合などもレポートしたい。


エージング前からシャープな音質感を期待させるが、長めに72時間ほどエージングさせたところで、音場感が立体的で安定してきた。
まず、トーンコントロール付きということで、気になるBASS TREBLEを中央にしたところでの聴いた感じは、音像のシャープネスはまずまずと言ったところだ。音質感は高域が少ししっとり、低域が少し太い感じになるが、これも極僅かな感じである。S/N比の悪化が感じられないところは安心出来るところだ。スピード感は少し抑えめで聴き疲れしにくい方向に仕上がっている。

全体的にはフラットでスッキリなサウンドで、広い音場空間の表現力がある。
ローエンドは量感がしっかりある音で、ボンついた感じは無いが、音楽を楽しく再生する。ハイエンドはザラつきを抑えた滑らかな感じだが、ソースにあるザラつきはしっかり表現する。
定位は程よいフォーカス感の自然な感じだ。スピーカーの外側の定位が綺麗でしっかりしている。チャンネルセパレーションはとても良く感じる。
音場は左右方向に対しては自然で包み込むような360度の広がり感があり、上下方向もしっかり、前後方向には豊かな表現力を持ち、後ろは左右方向からとシームレスにつながる。ワンポイント録音の良質なソースを楽しみたくなるものだ。
トーンコントロールは、Bassは積極的なセッティングで効きが良い。ターンオーバー周波数が上でコンパクトスピーカー等でも効果を感じ易く、変化量はかなり多い。Trebleは繊細な雰囲気で、ターンオーバー周波数が上のセッティングで、音響機器のセッティングに使い易い。変化量は十分あるが、Bassよりは少なく感じる。
Bass/Treble共に振り切りいっぱいまで回しても極端な位相崩れが無いので、積極的に使って行きたい。

本機はトーンコントロールを使って積極的な音作りが出来るところが最大の魅力だ。小口径スピーカーの低域の補償に使うのはもちろんのこと、音楽のジャンル、録音された年代等に適応した再生機器側の特徴をシミュレーションするのも面白い。
本機は12V~24Vの電源入力に対応しているが、オペアンプのドライブ電圧の事もあり、24Vを推奨したい。また、DC-Input端子はしっかりしたタイプを使っているが、センターピンは2.5mmなので、2.1mm系のプラグを刺す時には変換コネクタが必要なので、注意が必要だ。

本機はオペアンプを交換して変化を楽しむ事が出来る。
交換の時には2つオペアンプの向きが逆になるので、特に注意してほしい。
両方ともOPA627にすると、鮮烈な解像度の立体的な音質に驚く。全帯域で音の描写力が向上するので、お勧めである。
両方ともOPA1622では、全帯域にタイトで正確な感じと力強さがバランス良く少しアップする。
両方ともLME49720にすると、音像がタイトで、左右方向の正確さと立体感が向上するが、高域がすこし出過ぎる感じになる。
本機はトーンコントロールがあるので、オペアンプを交換しなくても音質を調整出来るので、トーンコントロールの要素以外の部分に注目して交換するのもアリだ。
毎度の事だが、全ての保証が効かなくなる為、自己責任の範囲で楽しんでほしい。

総括
トーンコントロールで低域と高域をコントロール出来る本機は、組み合わせるスピーカーや、音楽、時間帯などのシーンに合わせて使いこなしの幅が広がるところがとても魅力的である。ダイレクトスイッチがあったら嬉しいと思うが、音楽の情報量や空気感が大きく減るような事は無かったので、無くても大きな問題では無いと感じた。価格からは想像出来ないような出来の本機であるが、積極的にトーンコントロールを使いたい時には特に選びたくなる一台だ。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

音楽業界で30年余年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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