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Labo’s View 023 FX-AUDIO- FX-2020A+ CUSTOM

      2019/01/07

『新たな装いで帰って来たトライパス使用機』

第9ロットまで熟成した「LP-2020A+@NFJストア別注モデル」をルーツにしていると思われる新モデル「FX-2020A+ CUSTOM」が登場した。
基本的な回路構成が同じという事で、期待するところが多いが、はたしてどんな音質に仕上がっているのだろうか?

パネル面のデザインはFX-AUDIO-の構えに変更されているが、LP-2020Aと機能的には同じで、トーンとダイレクトのスイッチが使いやすくなっている。BASS、TREBLEのつまみの位置関係も正常化して違和感なく操作出来るようになった。
電源を投入した時のカチっとリレーが立ち上がるタイミングがMCUによる制御になった事で、LP-2020Aと違った雰囲気を感じさせる。
ファーストインプレッションとしては、とてもさっぱりとした爽やかな音が出てきたが、エージングを進めて行くと滑らかさが格段に変わって来た。十分に滑らかさが出て来て変化が落ち着いて来た100時間を超えたぐらいのところで、試聴を開始する。

印象的なのは中域の滑らかな感じである。LP-2020A+の第9ロットと比較してもかなり大人な雰囲気に仕上がっている。
低域はゴリゴリと押し出してくる感じではなく、サッパリとした雰囲気で、程々のスピードで軽やかでフラットな傾向。中域は滑らかで入力に忠実な方向。高域はザラつきが無く透明感のあるきらびやかな感じで、LP-2020A+とはかなり異なる印象である。
音場は左右方向には十分広く、前後方向も良い感じに表現する。上下方向には程々。頭の後方への表現力はかなり高い。
音像はやや小さめで、音場の表現力に対して、精度が良く感じる。センター定位も音域に関わらずしっかりしており、心地よくヴォーカルを聴かせてくれる。
解像度は全体的に高めで、特に中高域の分解能の高さを感じさせるセッティングだ。実音と残響の分離がしっかりしているのはもちろんだが、楽音の一つ一つの演奏表現がしっかり伝わってくるところが嬉しい。

トーンコントロールのBassは積極的なセッティングでターンオーバー周波数が上めでコンパクトスピーカー等でも効果を感じ易く、変化量はかなり多い。
Trebleはターンオーバー周波数が標準的なセッティングで、変化量は十分にあり、かなりしっかり効く。
Bass/Treble共に効きが良いところと、トーンコントロールのON/OFFで僅かに音量が異なるのはLP-2020A+と同じ傾向である。

DC-Input端子は2.1mm系の標準的なもの。12V仕様であるが、保証が効かなくなる為自己責任ではあるが13.5V程度で使う事も出来る。14Vと超えるとTA-2020アンプICが壊れるので、厳重に電圧を管理してほしい。

本機はバッファ段、トーンコントロール段の2つのオペアンプを交換して変化を楽しむ事が出来る。トーンコントロールを使わず(DIRECT側)に使っている場合は、ボリュームつまみ裏のオペアンプだけを変える事も可能だ。
今や定番のOPA627をDIP2回路変換基板に載せたものに交換すると、全体的に解像度が上がり、ビビッドな音に変化する。各楽器の実像感、立体感も素晴らしく、ヴォーカルの表現力も豊かになり、オススメである。トーンコントロール側の変化としては歪み感が少なくなり、より積極的なコントロールに使えるようになる。
OPA1622をDIP変換基板に載せたものに交換すると、全体的な解像度はOPA627には及ばないが、中低域の量感や押し出し感がなかなか良いものがある。使っているスピーカーとの相性によってはアリなセッティングだ。トーンコントロール側に使うと効きが良く感じるが、TONE/DIRECT切り替え時に少し大きめのプチっとノイズが入るようになったので、こちらは使わないほうが良さそうである。
LME49720に交換すると、とても緻密な音に変化する。OPA627のようなビビッドさは無いが、この緻密で歪み感の少なさはアリだと思う。CANタイプを使うと僅かにビビッドさも増すので、足を上手に加工してケース内に納められる人にはこちらも選択肢のひとつだ。トーンコントロール側の変化は歪み感の少なさが良い感じだ。BASSの変化がかなり低い周波数で大きく変化するように感じられたので、ローエンドを強めに補正したい時にも有効だ。
OPA2134では、少し尖った感じがあるがスピード感のある音に変化する。音離れが良く、実音がクッキリ聴こえるようになる。トーンコントロール側の変化は歪み感が増える感じがあるので、標準の5532のほうが良さそうだ。
MUSES8920では、実音がくっきり浮かび出す感じが強くなる。残響の多い部屋で使っている場合にはマッチングとして選択肢の一つになるだろう。トーンコントロール側の変化はTREBLE側の変化がエキサイターのような感じになるので、エレクトロなEDM系等を派手に鳴らす時には有効である。
MUSES8820では、立体感のあるビビッドな音に変化する。音像が迫ってくる感じが良い感じだ。トーンコントロール側の変化は、深みのある音質の変化になり、実に面白い。
全ての保証が効かなくなる為、自己責任の範囲で楽しんでほしい。
一通りの交換の後、標準のNE5532に戻して改めて聴くと、全体的に上手くセッティングされている事も判る。

保証が効かなくなるが、LP2020A+では調整出来なかったオフセット電圧が調整出来るようになったのは、嬉しいポイントだ。作業方法を知っている人は、オペアンプ交換後などに調整したほうが良いと思われる。

電源系ではリトルスージーが効くので、持っている人は是非、試してほしい。

総括
かなり希少になってきているTA-2020-020を使った本機は、LP-2020A+の別注モデルのノウハウとFX202Jという2つのベストセラーモデルの血統を引くサラブレッドという事が音でも伝わってくる仕上がりであった。音質傾向としては、LP-2020A+第九ロットより大人な仕上がりで、FX202Jよりは少し力強い感じになっており、上手いポジションに感じた。
NFJのラインナップがとても充実し、ビッグパワーに向いている機種も多くなったが、ピークパワーで10W以下ぐらいの使い方ならば強力な選択肢の一つで、お勧めである。また、LP-2020A+やFX202Jを販売終了後に知った人にも、本機を強くお勧めしたい。

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谷原 寿栄

谷原 寿栄

1968年生まれ 音楽業界で30年 ミックス/マスタリングエンジニア オーディオ製品開発のアドバイザー 趣味はオーディオとクルマ
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